ファームの田んぼは数カ所を残して、すでに入水を止め稲刈りの準備に入っています。
夜になってから、まだ入水中の、どうしても水の様子が気になった田んぼへ行くと、
稲たちが、月の光を浴びて気持ちよさそうにそよそよと揺れていました。
田んぼからのスーパームーン
水不足に見舞われた時など、夜中にも、田んぼの水を見に通うことになるのですが、
ある日、夜中の田んぼに立って、稲を見ていた時、
日が暮れて、星が輝き、月が昇ると、稲たちはこうやってその光を浴びているんだなぁ・・・
と、ふと感じることがありました。
昼はお日様の光をいっぱいに浴びて、夜には月と星の光を浴びて・・・。
お日様だけではなく、月も星たちも、毎日稲を育んでくれていたことに気づかされました。
学校の理科の授業では、昼間のお日様の光による光合成だけで植物が育つかのように、
光合成のシステムに主眼が置かれていました。
しかし実際に、田畑に立って失敗も繰り返しながら、植物と過ごしてみると、
水と土と栄養素と太陽が植物を成長させる要素ということや、
一般的な「土の栄養学」も、何かが足りないと自然に感じるようになりました。
それだけではない、そういう学問には納まりきらない、当てはまらない力があって、
それが24時間たゆみなく、稲たちを見守り、育んでいるのだと私は感じています。
その大きな大きな力があらゆるイノチを育んでいるのだと思います。
まるであらゆるものが育ててくれたような、力の結晶であるお米を、私たちは頂いています。
自分で田畑に立つようになり、一番幸せだったことは、御飯を頂き、
「いただきます」「ごちそうさま」という時に、私たちもその大きな大きな力に
今も育まれている、ということを感じられるようになったことです。
ただの教えられた習慣としての「いただきます」「ごちそうさま」ではなく、
心からの「いただきます」「ごちそうさま」になりました。
お料理の時間も、ご飯の時間も、以前より何倍も有難く満ち足りた時間となりました。
これからは、一部の農家が多くの人の食べ物を担うのではなく、
一人でも多くの人が、小さくても家庭菜園で作物を育てていく時代だと思います。
それが当たり前のことになっていくと素敵だなと思っています。
実際に育ててみて、観察したり、考えたり、発見したり、感動したり、そうやって体感すると、
皆さんにも心から満ち足りたお料理の時間と、御飯の時間が味わえると思います。
私にとっては、特別綺麗だった満月の月明かりの下で、
稲たちの生命力と稲を育んでくれるすべての存在に感謝をささげることが出来た、
幸せいっぱいのスーパームーンでした。