12/26/2012

”おひつ” のススメ

いつも漬物や干しもの全般などの保存食の作り方を教えていただいているおばあちゃんがいます。

この冬のはじめに、出来たばかりの干しイモの品評会?をしながらのお茶の時に、前から気になっていた「昔はどうやってご飯を保温していたのか?」という疑問をぶつけてみたことがありました。

まず、かまどで炊いたご飯は、“おひつ”に入れたそうです。
それを藁で編んだ”いずみ”という籠の中に入れておくと、しばらく保温されていたとのこと。
日本人、さすが!!
しかも昔の日本人はなんてクレバーなんだ!!
早速調べてみると、どこかでみたことのある”いずみ”・・・

おお!そうだ♪お寿司屋さんだーーー!!
お寿司屋さんのカウンターの一角に”いずみ”あって、握る時にそこからシャリを出していた!!

というわけで、何となくどんなものかイメージが湧いてきたところで、御年88歳のおばあちゃんも昔懐かしい道具や暮らし方を詳しく解説してくれました。

おばあちゃん曰く、「おひつといずみに入れておいたご飯はそりゃあ美味しかったよ。電気釜の保温は便利だけど・・・正直マズイと思うね。昔の人は美味しいもの食べてたってことだね。でも、今そんないずみなんてどこで買えるんだろう??」

うーむ。確かにどこで買えるのか見当もつきません。
しかし、そのご飯、美味しそう・・・気になる!!おひつといずみ!!


我が家ではここ二年ほど、もう電気炊飯器は使用しておらず、圧力鍋で美味しい玄米を楽しでおりましたが、炊き上がったご飯は当然二回~三回に分けていただくため、保管方法に悪戦苦闘していたのです。

さらに聞くと、山梨では昔は木曽の職人さんたちが作ったおひつなどの木の道具や、その他の地方からも竹の道具の行商の方が来て、定期的に様々な道具を物々交換したり、購入したりしていたそうです。
おばあちゃんが「木曽のさわらという木で作ったおひつを、うちでは使っていた。」と言うので、私も根拠もなく、同じようなおひつが欲しくなってきました。(かぶれやすい私・・・)

おばあちゃんによると、おひつやいずみはある意味一生モノ。
中途半端なものを買ってすぐに壊れたり、使っていて不快だったりすると「安物買いの銭失い」状態なので、とにかく腹をくくって職人さんが作ったしっかりしたものを買いなさい!とのこと。
節約はすばらしいけどケチはだめ、とキッパリ。

この話をしてから頑張って、いやウキウキと貯金箱にお金をためました・・・

そして、ついに我が家にやってきた ”おひつ” と ”いずみ” がこちらです。




稲わらで編んである籠のほうが「いずみ」で、中におひつが収まっている状態です。

昔は同じようにして編んだちょっと形の違う「いずみ」に赤ちゃんを入れて温かく保護した状態で、田んぼや畑に連れて行って作業しながら面倒を見ていたんだそうです。

ちなみに、おひつに玄米を入れて、確かにしばらくは温かい!!

さすがに電気炊飯器の保温機能と同じようにはいきませんが、そこは味や香りなど、おひつの良さ(メリットの部分)でカバー♪


まだまだこれから工夫しながらの長いお付き合いになりそうな道具たちです。
お手入れもとてもシンプルで簡単なので苦になりません。


「おひつといずみを買ったんです~」と他のおばあちゃんに報告すると、
まだいずみという道具が買えることがとてもうれしかったようで、そこから延々と昔話が始まり、やはり長年生きてきたけど、電気釜の保温より、おひつの頃はお米が美味しかった・・・とそのおばあちゃんも熱く語ってくれました。

今日も、おひつといずみのお蔭で、最高に美味しいお米をいただける幸せに感謝です♪
そして、昔の生活の知恵は宝物。
こうして私たちに伝えてくれるおばあちゃん達を、もっともっと大切にしたい!!と強く思いました。