2/01/2013

いのち(生命)ある野菜

二月に入りました。これから間もなく立春を迎えます。旧暦の元旦も間もなく・・・春先からレタスを出荷する農家さんは苗作りが始まり、忙しくなってきたようです。

二月、三月からはトマトやナスなどの夏野菜の苗作りもスタートするので、まだまだ寒い真冬ではありますが、もう春に向けて気合が入る時期でもあります。

皆さんはF1種という言葉を聞いたことがありますか?
実は今日本のスーパーや八百屋さんに出回っている野菜のほとんどが、このF1品種のもの。

ここで「野草の力をいただいて 若杉ばあちゃん食養のおしえ」や「一汁一菜食養生活」などでベストセラーとなった本を書かれ、またご自分でもお米やお野菜を自給しながら、みなさんに食の大切さ、農の大切さ、身体の大切さを伝えている素敵な女性、若杉知子さんという方の本に書かれているF1品種についての一節を引用させていただき、ご紹介します。

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■F1品種より在来種のものを

今、スーパーや八百屋で売られているものの多くは「F1品種」というもの。
これはバイオテクノロジーの技術によって生まれた交配種です。
人間が勝手に遺伝子を組み換え、罪深いことをしていますよ。
一代限りで終わってしまうから、怖いものです。
昔は野菜を育て、種を取り、また来年まくというように、どこの農家でも自家採種が当たり前で、命のバトンリレーが行われていました。
次の世代につなげる力がある種から育った野菜は、それだけ栄養価が高く、味わいも濃くて、生命力にあふれているから本当に元気をもらえます。
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F1品種については、野口勲さん著「タネが危ない」という本に、とても詳しくわかりやすく説明されているので、これは是非一度読んでいただきたいと思いますが、とにかく端的にいうと、市場に出回っている植物が本来持っている生殖能力が無い野菜たちがほとんどということです。これは実はとても怖いことなんです。

次世代をつなぐ種ができないのです。
これは、野菜そのものの生命力という点でも大いに問題があるのですが、農家の方は毎年種を買わなければ育てられないので、種苗会社にとっては種ができない野菜をみんなが育ててくれれば、売上(利益)が大きくなるという経済の面での事情もからんできます。

また、F1品種はまるでハンを押したように、同じタイミングで発芽し、同じペースで育ち同じような形になっていきます。スーパーなどに陳列したときに、形がそろっていて、出荷の時期がそろうという事情から、大量にお野菜を出荷する農家さんもF1品種の方が手間が省けたり都合が良いので、流通や販売という面での事情もからんでいます。消費者の意識もかかわってきますね。

F1品種と違い固定種(本来の命ある種)のお野菜は、発芽のタイミングもそれぞれバラバラ、形もそろわなかったり、成長の具合も個性があります。だからこそ、何か病気が発生しても全滅したりはしません。中にはその病気に強いものがいたり、虫に強いものがいたりするからです。

また、食すもの(口にいれるもの)がその人を創るわけですから、種なしの野菜ばかりを食べていれば、食べているヒトの体もどんどん生命力や生殖能力が失われていくのは必然でもあり、私たちは自分たちが日ごろ口にいれているものについて、もう少し真剣に考え直した方が良いことは間違いないようです。

百姓しごとを始めた時から、固定種のお野菜で何とか育てたいと思って品種を選んでやってきましたが、一度実験的にF1品種も育てたことがあります。
何が一番違ったかというと、味!!
とにかく固定種は、本当に味が濃く、若杉さんの本の通りです。
確かに食べた後の得も言われぬ満足感、あれは、胃袋がいっぱいになったというのではなく、身体がしっかりエネルギーに満たされたという感覚なのだと思います。

まずは、是非、みなさんもF1品種と固定種の違いについて、知っていただきたいと思います。
そして、なるべく自分の手で、自分で選んだ固定種の種でお野菜を育てていただきたいと思います。
売るほど作らなくて良いのですから・・・自分の家族の食べるお野菜のうち、一部でも良いので育て始めませんか?すでに家庭菜園を始めている方は、タネを是非、固定種に変え、自家採種を目指しましょう!